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本展監修者シルヴィア・フェリーノ=パグデン氏よりビデオメッセージが到着しました。

四季 春夏秋冬

1563年ヴァージョンの春には80種もの花々が描きこまれている 1563年ヴァージョンの春には80種もの花々が描きこまれている
《春》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《春》1563年 油彩/板

マドリード、王立サン・フェルナンド美術アカデミー美術館蔵
© Museo de la Real Academia de Bellas Artes de San Fernando. Madrid

《夏》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《夏》1572年 油彩/カンヴァス

デンバー美術館蔵
© Denver Art Museum Collection: Funds from Helen Dill bequest, 1961.56 Photo courtesy of the Denver Art Museum

《秋》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《秋》1572年 油彩/カンヴァス

デンバー美術館蔵
© Denver Art Museum Collection: Gift of John Hardy Jones, 2009.729 Photo courtesy of the Denver Art Museum

《冬》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《冬》1563年 油彩/板

ウィーン美術史美術館蔵
© Kunsthistorisches Museum, Wien

連作『四季』

1563年に最初の連作が描かれた。好評のため、その後数回にわたり別のヴァージョンが制作されている。それぞれの季節の植物によって上半身が構成され、また年若い《春》から老人の《冬》まで、季節が各世代に対応する。性別は分かりづらいが、《春》と《夏》は女性で、《秋》と《冬》は男性という説が有力である。ラテン語やイタリア語では春と夏は女性名詞、秋と冬は男性名詞だから、それに倣ったのである。
顔を構成する植物は、精妙な描写ゆえにすべて判別可能であり、1563年ヴァージョンの《春》には80種もの花々が描き込まれている。主に野菜と果物から構成される《夏》には、大航海時代を経てメキシコからもたらされたばかりのトウモロコシや、アフリカ、アラビア、インドが原産のナスなど、当時の人々の目には珍奇に映ったであろう野菜が数多く登場する。
季節の産物という小さなモティーフによって人間が形作られ、それが季節という大きなテーマを寓意するこの連作は、ミクロコスモス(小宇宙=人間を構成する秩序)とマクロコスモス(大宇宙=自然や宇宙全体の秩序)の対応という、古来の考え方に根差している。
《冬》の服にあしらわれるMの文字は皇帝マクシミリアンを象徴する。つまり連作全体で、世界(ミクロコスモスとマクロコスモス)を統べる皇帝を称揚しているのだ。

四大元素《水》

四大元素は四季と向かい合う。たとえば《水》は、《冬》とペアになる。 四大元素は四季と向かい合う。たとえば《水》は、《冬》とペアになる。
《冬》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《冬》1563年 油彩/板

ウィーン美術史美術館蔵 
© Kunsthistorisches Museum, Wien

《水》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《水》1566年 油彩/板

ウィーン美術史美術館蔵
© Kunsthistorisches Museum, Wien

連作『四大元素』

世界を構成する四つの要素と考えられた《空気》《火》《土》《水》からなり、1566年に最初の連作が描かれた。この連作にもいくつかのヴァージョンが存在し、『四季』よりもモティーフが複雑に絡み合う。《水》では62種の魚類や海獣などの水に関連する生き物が、大きさを無視して描きこまれ、そこには不気味にリアルな顔が浮かび上がる。
『四季』同様にこの連作も、世界を支配する皇帝を称揚している。《水》ではウニのような生物のとげによって王冠が表わされており、この人物に皇帝が重ね合わされていることが分かる。さらに『四大元素』は、『四季』と組み合わせ可能になるようにも構想された。たとえば《水》は冷たく湿っているから、《冬》とペアになる。だから並べると両者は向かい合うようになっている。

上下絵《コック/肉》《庭師/野菜》

《コック/肉》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《コック/肉》1570年頃 油彩/板

ストックホルム国立美術館蔵
© Photo: Bodil Karlsson/Nationalmuseum

まわす?
《庭師/野菜》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《庭師/野菜》1590年頃 油彩/板

クレモナ市立美術館蔵
Sistema Museale della Città di Cremona - Museo Civico "Ala Ponzone" / Museo Civico "Ala Ponzone" - Cremona, Italy

さかさまにすると、まったく異なるイメージが完璧に現れる。 さかさまにすると、まったく異なるイメージが完璧に現れる。

コックや庭師の顔が、絵をさかさまにすると、肉料理や器に盛られた野菜に変化する。上下どちらからも鑑賞できるイメージは以前にも存在したが、このように、まったく異なるイメージが完璧に現れるという例はそれまでなかった。これらはアルチンボルドがミラノに戻った後の作品だが、彼は同じような絵をウィーン時代にも描いていた。
肉や野菜の静物画として見た場合、これらはイタリアにおける最初の独立した静物画となる。通常イタリアで最初の独立した静物画を描いたのはカラヴァッジョやアンブロージョ・フィジーノとされるが、彼らはどちらもミラノ出身の画家であり、アルチンボルドのこうした作品をほぼ確実に知っていた。アルチンボルドはイタリアの静物画の展開にとっても画期的な役割を担ったのである。

《法律家》《司書》《ソムリエ(ウェイター)》

《法律家》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《法律家》1566年 油彩/カンヴァス

ストックホルム国立美術館蔵
© Photo: Hans Thorwid/Nationalmuseum

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《司書》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《司書》油彩/カンヴァス

スコークロステル城蔵
© Skokloster Slott/Samuel Uhrdin

アルチンボルド《春》

ジュゼッペ・アルチンボルド
《ソムリエ(ウェイター)》1574年 油彩/カンヴァス

大阪新美術館蔵建設準備室蔵

それぞれの職業を表すものを組み込んだ肖像画。 それぞれの職業を表すものを組み込んだ肖像画。

本や樽など、それぞれの職業を表わすものを組み込んだ肖像画である。《法律家》はウィーン宮廷の財政を取り仕切っていたヨハン・ウルリッヒ・ツァシウスという法学者の肖像だ。距離を置いて見ると驚くほど本人に似ているので、皇帝はじめ宮廷の人々に気に入られたという当時の証言がある。
《司書》も、おそらく宮廷に仕えた学者である。共通して戯画的な表現が特徴であり、《法律家》は顔を鳥肉と魚で構成することにより、あからさまに馬鹿にしつつ、モデルの顔の欠点をあげつらっている。《司書》もまた、頭の固い学者として描かれている。《ソムリエ(ウェイター)》はわが国にある唯一のアルチンボルドの作品である。

レオナルド派の素描

レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく《グロテスクな3つの頭部のカリカチュア》

レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく
《グロテスクな3つの頭部のカリカチュア》ペン、褐色インク/紙

大英博物館蔵
© The Trustees of the British Museum

レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく《男女の頭部のカリカチュア》

レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく
《男女の頭部のカリカチュア》ペン、褐色インク/紙

大英博物館蔵
© The Trustees of the British Museum

アルチンボルドもダ・ヴィンチの影響を受けた。 アルチンボルドもダ・ヴィンチの影響を受けた。

ミラノを活動の拠点のひとつとしたレオナルド・ダ・ヴィンチは、自然観察を重視する姿勢や独特の陰影法によって、この地の美術に大きな影響を残した。レオナルドに倣った画家たちのことを、レオナルデスキという。
やはり画家であり、アルチンボルドの師でもあった父は、レオナルデスキのひとりベルナルディーノ・ルイーニと親しかった。アルチンボルドもレオナルドの影響を直接間接に受けた。それはとりわけ彼の自然観察に見られるが、彼の絵画にしばしばみられるグロテスクな横顔や空想的なイメージにも、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品との関連が指摘されている。

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【キャッチコピー】改めて並べてみてみると、本展の見どころがほぼ説明されていました。今となっては、レアな初版のチラシより。 https://t.co/5ORU86B88E
【HP】公式ホームページには、仕掛けがいっぱいあります。トップページをスクロールすると溶け出す背景は、何を隠そうあのダリを少し意識しています。作品紹介のページでは、ズームしたり回転させたり、作品の魅力を楽しく味わっていただけます。 https://t.co/nldQNSMNrv https://t.co/J0SgBAJfA2
【アルチンボルドの魅力】現代の私たちも驚く、"精密な描写"や"組み合わせの妙"。ですが、絵に隠された様々なメッセージを知ると、さらに彼の"凄さ"がわかります。きっと当時の皇帝たちも、自分しかわからない秘密の暗号を見つけ、ニヤリとしたのでしょう。 例えば≪水≫のトゲトゲ(難易度1) https://t.co/C5fxN0BwLo
【ポスター・チラシ】ご覧いただいた方、ありがとうございます!メインビジュアルの日本初公開作品≪春≫は、細部まで繊細に描れた作品で、描かれた花・草葉の種類は合わせて80種! "スズラン"の歯や"ラベンダー"の眉毛など、アルチンボルドらしい、奇抜でオシャレな創造力が発揮されています。 https://t.co/DdlaUQIwRp
【みどころ】教科書で見たから?名前は知らずとも、アルチンボルドの作品は日本人によく知られています。個々の作品は以前も日本で展示されていますが、多くの場合、「だまし絵」としての一般的な紹介の仕方でした。今回は、彼を、時代に愛された「知略の画家」として日本で初めて本格的に紹介します!
Twitterはじめました(やっと)。 6月20日から国立西洋美術館(東京・上野)で開催する「アルチンボルド展」の見どころや、作品の解説などをお伝えしていきます。 彼は、およそ450年前の画家です。代表作の連作『四季』を描いているころ、日本では織田信長が活躍していました。